東映杯TDが呟いてます。

ディベートと大会運営がメインです。

正規コミの選び方①現状手法のデメリット編

正規コミとは: 大会運営を担う、役職肩書き付きの人の事。

現状、スカウト制で決まるコミ

ここ1~2年の大会を思い返してみてください。

みなさんは各大会の正規コミがどのように就任したのかご存知でしょうか?

実は、ほとんど全てが『個人的なスカウト』です。TDもしくはJPDU幹部あたりがコミやってくれな〜い?って聞いて回ってるんです。

スカウトええやん!と思った方、多いと思います。しかし、実はスカウト制度はかなりよくないやり方なんです。メリットは確かにあるのですが、僕個人はスカウト制度は廃止して公募型(3年くらい前までのやり方)に戻すべきだとずっと言い続けています。

具体的には3つのデメリットがあります。

①ほんっっっっとうに断りづらい

②新規人材が全く入ってこない

③癒着がやばい

 

①ほんっっっっとうに断りづらい

これマジでシビア。いや断れよそれくらい、と思うやん?実際、何度も頼まれてみ?断っても「他の人に聞いたんですけど、やれる人がいなくて……」って、とぼとぼ依頼相手が戻ってくるし。結局、同じ人が何度も何度もコミをやる理由はここにあったりするのかなって思っています。

 

想像してください。あなたのコミ経験が豊富で、その大会に参加したいな〜とぼんやり思っているけどパートナーとかには特別アテがなくて、頼んできた相手が大好きな先輩or同期or後輩で、大会のコミが決まらない辛さをも理解出来てしまうとして、

『本当に申し訳ないんですけど、お願いできませんか……?他に頼める方がいないのもありますし、○○さんが一番頼れるんです!』

みたいな頼まれ方をしたら。

 

断れねぇよ!!!!!そりゃ「人探すのも大変だよね!!引き受けるよ!」って言っちゃうよ。もちろん、ちゃんと断る人もいるし、それは賢いと思います。直前になって同期に誘われたりとかチームアップの機会には事欠かないし、そもそもコミやるのは(現状は)義務じゃないですから、自分の状況考えて返事ができているのは良い事です。

 

読み飛ばしてくれていいんですが、僕個人の話を具体例として挙げます。僕は頼まれると断れないタイプで、コミスキルが比較的高いと認知されていて、さらにコミ人員不足/コミ経験値不足のつらさを身に染みて理解している側の人間です。ので結果的に4~5大会を同時並行でコミ務めることもありました。全部メインタブで。

頭おかしいんじゃないの?って今なら思います。今なら。ただ、当時は他にコミしてくれそうな人材がいないことに焦り、だったら引き受けちゃえ!と全て首肯してしまいました。馬鹿だね。

結論: スカウト制度で個人を狙い撃ちすると、「引き受けてくれやすい人」が分かりやすく釣れるため、同じ人が何度もスカウトされる構図が生まれやすい。

 

②新規人材が全く入ってこない

これはイメージしやすいはず!

・コミやれそうな人をLINEとかFBとか通じてスカウトする

・コミやったことのある人or知り合いにしか声掛けられない

・いつも同じメンツで新しくコミュニティに入った人には声がかからないし、未経験者を採用しよう!ってならない。

 

そもそもスカウトする側の気持ちとしても「そうだ!1年生誘お!」とはなりづらいでしょう。不慣れな仕事は後輩にパワハラ紛いに押し付けたくないですし、そもそもやる気ある下級生には大会にディベーターとかで参加して欲しい気持ちもあるし。せいぜい自大学の仲のいい後輩に声かけるのが精一杯かな。

 

ルーキー側もコミがそもそもなんなのかとか知らなければアプローチしてこないだろうし、新歓で習うのは大会運営じゃなくてAREAじゃん?コミの裏側を知らないまま4年間ディベートする人もいるんじゃないかと思っています。

たとえ、コミのことを知っていたとしても、どうも自分の知らないところで声かけられて決まるみたいだし興味あるけどまあいっか〜になっちゃうと思います。大変そうだし、興味だけで「コミにしてください!」って言いにいくの難しいと思います。実際それでコミを1回もやらずに4年生になった同期もいるし。

 

となると、スカウトしてるからこそ、「興味はあるんだけどコミのなり方わかんないな〜」勢を端から弾き飛ばしてしまっているのではないだろうか?という結論に到る訳です。

だって東映杯はコミ応募めっちゃ多かったし、公募でこれだけ集まるじゃん!!ってなったよ。前々からコミをやりたかったけど、応募とかわかんなくて……って人もいたし、きちんとケアできれば十分な人材が集まるんじゃないかな。

 

③コミ内の癒着

癒着というワーディングが正しいのかは自信が無いですが。

 

スカウト制度において、同じようなメンツで毎回大会運営することになる構図が固定化されるため、まずコミは毎回似たような顔触れになります。

何故でしょう、やったことない人も含めて満遍なく声かければ良いのになって思いません?これにはディベート界隈の背景事情が関わっています。

 

スカウト制度を用いると、TDやJPDU幹部の気持ちとして『安定した大会を開きたい』『コミ経験豊富な人の方がありがたい』という心理は働きやすいです。だって、昨今は何でもかんでもコミのAccountabilityが高めに要求され(悪いとは言ってないよ!必要なこともある)、すぐトラブルがコミの責任になる傾向が顕著です。大会炎上を避けたいと思うのは自然ですよね。

そうなると、コミのメンバーには仕事のできる人しか選ばれません。もしくは仕事に不慣れな人は他の人が代行可能なポジションに就任しがちです。人数合わせのように、いなくても大会の運営自体は回るなってポジション*に入れられます。

※これはOsawa Cup 2017か2018かなんかでMDになった僕のことです。まじで事前から当日まで何一つ仕事をしていません。当日は何故かシャドーをやっていました。スライドどころかPCにも触っていません。

 

そうなると、我々熟練コミは「完全な初心者コミ」の存在や、「仕事に不慣れ勢」の存在をいつしか忘れ、プロだけの閉じたやり取りで仕事をするようになってしまいます。というか毎回そうなるから、プロコミ同士のやり取りに完全に慣れちゃいます。2~3大会連続で顔を合わせるなんてしょっちゅうです。

 

このような「全員プロ想定」のコミ体制は新規人材の育成を受け入れるキャパシティを自動的に失っていきます。

通常、不慣れな人や初心者が混ざっていれば当然の如く能率が落ちる場面があります。そんな時、プロコミは「不慣れな人の仕事にフォロー名目で手を出して、完遂しちゃう」のです。

能力があるから。経験もあるから。その方が早いし、大会の炎上や遅滞リスクやミスが減るから。

(このような閉じた環境は、他職の仕事を侵食し始めるきっかけにもなります。例えば、気がついたらTabがインビテ/アプリケフォームも公開用の参加者リストも作り、VTDやTDが文面を考えてしまい、結果としてCDの仕事がPDMLとFBにその文面を脳死で送るだけになってしまう、みたいな。でもこれ本題じゃないからまた今度書きます。)

 

参加者のためを思って、プロコミだけで完璧な大会運営を目指すって良い事だよね。でもこれだと新規人材がいつまで経っても育たない。新人コミは常にプロコミからの介護を受け、ぼーっと座ってたら大会終わってた、みたいなことになってるわけだからやり甲斐も感じられないし、スキルも特に身についてない感覚。

プロコミだけが悪い訳では無いですが、我々は大会の成功を強く願うあまり、少し他職の仕事をフォローし過ぎちゃっているんです。

そして我々プロコミは愚痴るのです、「コミを引き受けてくれる人がいない」と。落語かな?

 

まとめと宣伝

我々は盛大なブーメランを投げ続けています。コミがいない〜と言いながら、いなくなる原因を作り続けています。

スカウト制を採用し続けることで、コミを頼みやすい/OKくれやすい人にばかり声をかけて、同じような人ばかりがコミになり、その結果として、閉鎖的なコミ環境も手伝って新規コミ人材を育てられるような状況ではなくなってしまった。

 

したがって、コミ人材不足は、「コミがダルそうだから」・「ディベーターやジャッジの方が実績積めるしプラス、コミは何もプラスがない」という問題に加え、「初心者コミが入るには厳しいハードル設定が『コミスカウト制』によって強化されている」ことが問題なのかなと思っています。

 

次は「スカウト制」から「公募制」に切り替えると何が解決できるのか?ってとこを掘り下げたいです。時間があったらね。

 

あと春Tのコミはその反省を活かして、某最愛の後輩が公募制にしてくれたので、みんなぜひ応募してくれよな!

ディベーターとかジャッジとか参加者側ばかりだなって自覚のある人はぜひ!

コミやったことない人を我々は求めています……!!!!!